将来の目標や夢を叶えるために、親元を離れて自立した寮生活を送る新聞奨学生の4人の先輩たちの座談会。仕事と学業を両立させるコツや、辛い時にどうやって乗り越えたか、どんなふうにやりがいを 見い出したのかなど、奨学生同士だからこそわかりあえる本音トークが大いに盛り上がりました。

夢を叶えるために新聞奨学生に

和泉 私が新聞奨学生になったのは、特別支援教育に興味があって、大学で専門的に学びたいと思ったから。学費を親に頼れないから、自分の力で大学に通えるのは本当にありがたかった。みんなはどうして新聞奨学生になったの?

袴田 僕は声優を目指して代々木アニメーション学院に通ってるんだけど、今まで何をやっても長続きしなくて、自分が一番頑張れる方法にしたいと思ったんだ。学費を自分で払っていると思うと、授業を一生懸命受けるし、責任感も出るし。新聞奨学生を選んで良かったと思う。

當銘 僕は父が新聞奨学生だったから、経済的に自立しながら、精神的にも成長できる良い制度って聞いていて。駒澤大学で英語を学ぶって決めた時に、自分も新聞奨学生になろうと決めたんだ。両親に相談したら大賛成。とくに父が喜んでくれて、親孝行ができて嬉しい。

市川 私は中学・高校が吹奏楽部で、クラリネットが壊れた時に修理してくれた職人さんがすごくかっこよくて、手に職をつけたいと思ったことがきっかけ。管楽器のリペアを学べる学校が東京にしかなくて、静岡から通えなかったことと、実家にいたら親に甘えてしまうから、新聞奨学生になって自分自身も成長したいと思ったんだ。

辛い時にどう乗り越えるかが大切!

袴田 朝早起きすることや、仕事と学業を両立するのって、慣れるまでは大変だったと思うけど、みんなはどうやってそれを乗り越えたの?

當銘 僕は朝刊を配達した後に2時間ほど仮眠したら、1限の授業を寝過ごしてしまうことが多くて。目覚ましを1分きざみで5〜6回セットしたら起きられるようになったよ。

市川 當銘君でも寝過ごしとかあったんだ(笑)。すごいちゃんとしてる人だと思ってたから、ちょっと安心した。私は寝過ごしとかしょっちゅうあるよ(笑)。

當銘 みんなあるでしょ!(笑)。でも出席日数はちゃんと考えてるし、テスト前は集中して勉強して、単位を落とさないように頑張ってるよ。

市川 私はバイクに乗るのが初めてだったから、最初はすごく緊張したけど、少しずつ慣れて乗れるようになった。たまに自転車で配達してる人を見かけるけど、坂とか大変そうだから、バイクに乗れるようになって良かったと思う。今は配達が終わったらあのお菓子を食べようとか、趣味の料理をしようとか、ちょっとしたご褒美を見つければ、それを楽しみに頑張れる。

和泉 私は4年目だから、何も考えなくても体が動くよ(笑)。1年目、2年目は確かにモチベーションを保つためにいろいろ努力したり、最速タイムを出したりしてた。でも今は完全に日常生活の一部になっているから、そんな工夫も必要ないかな。時間も安定して、毎日きっちり同じ時間に配達が終わるよ。

袴田 すごい!4年目にはその域に到達するんだね(笑)。1〜2年目はどんな工夫をしたの?

和泉 家の場所や配達ルートを覚えるために、景色をよく見るようにしてたかな。看板や道の形、建物の形などを風景として記憶することで、地図を早く正確に覚えることができたんだ。

自分自身の成長が一番の収穫

市川 景色といえば、夕焼けや朝焼けがすごくきれいな時は気分が上がるよね。新聞配達する人の特権だと思う。ほかにも、やってて良かったと思うことある?

袴田 夕刊はお客様と直接話す機会が多いから「ありがとう」って声をかけてもらうとすごくうれしいし、やりがいになるね。

當銘 そうそう。僕もいつも配達に行くカフェの店員さんと仲良くなって、立ち話をしたり、たまにお菓子をくれたり…小さな幸せを感じるよね。

和泉 私は交番のおまわりさんと仲良くなったよ。お菓子くれることもあって嬉しかった。

市川 私はビルの警備員さんが時々お菓子をくれたよ。

袴田 みんなお菓子もらってるね(笑)。僕は部屋で食事をする時に使うお盆が欲しいと思っていたら、雑貨屋さんがいらないお盆をプレゼントしてくれて、すごく嬉しかったな。優しいお客さんが多くて本当にありがたいなぁと思う。

當銘 やってて良かったっていう意味では、自分自身が成長できたことかな。僕は何でも真面目に考えて、計画にとらわれて疲れてしまうところが悩みだったんだけど、この仕事をはじめて、肩の力を抜くことを覚えたんだ。生活にメリハリが出て、時間を効率よく使えるようになったことが一番の収穫だと思う。

市川 私は掃除や洗濯、料理など身の回りのことができるようになったことかな。あとは寮で友達がたくさんできたこと。元気ハツラツな友達がいて、その子がいるだけで周りの人がみんな明るくなるの。この仕事をしてなかったら出会えてなかったし、私もそんな人になりたいなって思う。

袴田 僕がいる専売所はみんな代々木アニメーション学院の学生なんだ。学校のことを何でも相談できるし、テスト勉強や課題を一緒に頑張ったり、趣味の話で盛り上がったり、一緒にご飯を食べたり、とにかく毎日楽しくて。同じ目標を持つ仲間に出会えて、励まし合いながら学べることが一番の収穫かな。

和泉 私も何でも話せる友達ができたことかな。辛いことがあっても、友達とおしゃべりするとリフレッシュできるよね。それから地図を読むのが確実に上手くなった(笑)。これは私の特技かも。あと、福祉関係の会社に就職も決まった!

市川 すごい!おめでとう!新聞奨学生ということは就活に役に立った?

和泉 業界によるけど、役に立つこともあるんじゃないかな。私の場合は、ずっと自分に自信がなくて、自己肯定感がすごく低かったから、4年間、一度も休まずに新聞配達を続けられたことで、自分に自信が持てるようになったんだ。それが就活で評価されたのかなと思う。

當銘 僕はこの仕事をはじめてから日本経済新聞社で働きたいという新たな目標ができたんだ。所長さんに話したらすごくよろこんでくれて、新聞配達の経験と大学で学んだ英語のスキルを活かして、日本経済新聞社の発展に貢献したい。